ページをめくって
「何を見たの?」

「うーん、いろいろ」

いろいろって何?

気になるよ、それ。

「そんなの調べなくても僕が教えてあげるよ。むしろ調べないで」

「なんで?」

「なんか恥ずかしいから」

「そうなの?」

他の人が調べるならどうでもいいけれど、ハルに調べられるのは嫌だ。

目の前の僕が、本当の僕だから。

僕の知らないところで僕のことなんか、調べないで。

「知りたいことがあったらなんでも聞いて」

「……うん」

ハルは少し不満げにいちおう承諾した感じだったので、念を押した。

「僕のことは僕に聞いて」

「うん、わかった」

ハルはまたにっこりと笑った。

まずいな。

猛烈に調子が狂う。
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