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「なんでもないよっ」

私が首を振って言うと、和馬は立ち止まって私を正面からじっと見た。

「言いたいことがあるなら言って?何でもいいから、隠さないで」

言わないと嫌いになっちゃう?

不安な目で見上げた。

「言わないと嫌いになるわけじゃないよ」

私は目を丸くした。

「っ!……どうしてっ?」

「言ったでしょ、ハルのことはだいたいわかるって」

和馬には、全然敵わないよ。

「ハルが何を考えてるのか知りたいし、何でも言い合える方がいいでしょ?だからね、言ってほしいんだよ」

そんなこと、言ってもらえるだけで、胸がいっぱいになる。
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