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私はちょっと思い切ったことをしてみたくなって、和馬の腕にギュッとしがみ付いてみた。

和馬は驚いたように目を丸くして私を見た。

ダメだったかな。

私は不安になって少し離れた。

「こんなことしちゃダメだったよね」

「ダメなわけないよ。離れないでもっとくっついてよ」

そう言われたら急に恥ずかしくなって、さっきみたいにギュッとはできなかったけど、軽く寄ってみた。

「可愛いな、僕のハルは。もう誰にも見せたくないよ」

優しげな瞳で私を見ていることはわかっていたけど、照れてしまって見上げることができなかった。

頬が赤くなったけど、それでも私も離れたくなくて、ドキドキしつつも、そのままくっついて帰った。
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