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家に帰って玄関に入った途端、和馬がいきなりぎゅうっと抱き締めてきた。

私は驚いて固まってしまった。

「早くこうしたかった」

「……どうしたの?」

「ハルがあんなことするから、家まで耐えるのが大変だったよ」

驚いたけど、和馬に抱き締められるのはすごく心地良かった。

私は目を閉じてしばらくされるがままになっていた。

抱き締めたまま耳元で和馬が話しかけてきた。

「明日は仕事?」

「明日?明日は、休みだよ」

明日は土曜日だけど、珍しく仕事が入っていなくて休みだった。

そういえば私、次の家を探さないといけないんだ。

今の家、今月中に解約だから。
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