ページをめくって
「ひどいよ、意地悪だよ、和馬」

「そういう顔も大好きなんだよ」

目が合って視線を吸い込まれて、息を飲んだ。

「僕はハルの全部が大好きだよ」

胸がキュウッと痛くなった。

昨日私が聞きたがったから言ってくれてるの?

「……どうして」

なぜかわからないけど、そんな質問が口をついて出た。

「どうして?……どうしてだろう。僕は子どもの頃から好きだったよ。間は空いたけど、また会ったらやっぱり好きだったってところかな。……そういえば、ハルはどうして僕のことが好きになったの?」

「え?」

急に我に返った。

どうしてなんて聞いたから、聞き返されてしまった。

動画を見て一目惚れしたなんて、恥ずかしくて言えない。

私は目をそらして小声で言った。

「……秘密」

「秘密にするような何かがあるわけ?」

言えば言うほど墓穴を掘ってしまう気がする。
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