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「和馬には一緒に来ないでほしいの」

「本当は元彼のところに戻りたいの?」

そんなことないってわかってるくせに。

どうしてそんなこと言うの?

「ごめん、意地悪だったよね。……でも、もし戻ってこなかったらと思ったら、耐えられないんだよ」

和馬の少し苦しそうな表情に、胸がキュウッと痛くなった。

そんなこと言われたら、何も言えなくなっちゃうよ。

答えられずにうつむいてたら、和馬はぎゅうと抱き締めてきた。

「お願いだから、ずっと傍にいて」

それは私のことが好きだから?

あんなに何度も好きって言ってくれてるのに、どうして私は和馬の言葉をちゃんと信じられないんだろう。

言葉が出てこなくて、ただうなずいた。
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