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「遥、いいからこっちに来いっ!」

浩介はイライラして、大きな声を出しながら近付いてきた。

「やだ……」

私は恐怖を感じて首を振り、やっとの思いで小さな声を出した。

「なにぃッ!今なんつった?」

あ……、お父さんと同じセリフ。

大きな声で怒鳴った浩介の姿に、突然フウッとお父さんの姿が揺らいで、ピッタリ重なった。

なんで私、また怒鳴られてるんだろう。

なんで私、ビクビク脅えていたんだろう。

どうして、嫌なことをイヤって言ってはいけなかったんだろう。

私、すごく嫌だった!

すごく嫌だったのに!

突然、湧き上がるように激しい怒りが込み上げてきた。

「イヤッ!」

私は今まで出したことがないくらい大きな声を出した。
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