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「はっ?男ができたからって急に強気か?調子こいてんじゃねえよ」

「もうヤダッ、ヤダ!早く出て行って」

私の言葉にカッとした浩介が、目を開いて私を掴もうとした瞬間、和馬は私を抱きしめたまま後ろに身を引き、浩介の手は空をきった。

そして和馬は抱きしめていた腕を離すと、私を自分の背中に隠した。

「アンタね、俺ら問題に入ってくんなよ」

「もう話すことないだろ」

「遥はそうは言ってねえよ」

和馬は浩介よりもずっと大きくて、冷ややかな目で見下ろしていた。

そんな一触即発の二人の様子を見たら、これはいけないと直感して、スッと和馬の前に出て、ハッキリと言った。

「私、話すことなんて何もないよ。出て行ってほしいだけだから」

もしかしたら殴られるかもしれないと思った。
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