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和馬は腕に力を入れ、私の髪に顔を寄せた。

「ごめん、失敗しちゃった」

「え?」

「ただ単に外に追い出しただけになっちゃったね。鍵も返してもらえなかったし」

「ああ、……そうだね。でも、もういいよ」

「……よくないよ、こんなに泣かせて」

和馬は私が泣いている理由を、きっと誤解している。

「こんなに傷つけることになって、本当にごめん」

「違う。これは、違うの」

私はなかなかうまく説明できなかった。
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