ページをめくって
そうやって言葉にして説明しているうちに、私も自分の頭の中が少しずつスッキリと整理されていくのを感じた。

そして、自分が何に傷付いていたのかを知った「今の自分」が本当の自分で、それはまるで殻を割って産まれたばかりの新しい自分のような気がした。

そのことも思ったそのままを話したら、和馬はギュッと腕に力を入れた。

「君はね、純粋すぎるよ」

「え?」

「こんなに純粋だなんて」

「現実を見ないようにしていただけだよ」

「そうじゃないよ、本当に心配」

「心配?」

「すぐ騙されちゃいそうで」

「……バカにしてる?」

「違う、心配してる。……絶対に離さない」

そんな言葉。

胸が痛くなって、顔を擦り寄せた。

和馬の腕の中は温かくてとても心地良かった。

和馬の何もかもが、私を甘やかしているように感じる。
< 312 / 522 >

この作品をシェア

pagetop