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そうやってしばらく抱き締められていたけど、ふと冷静になって部屋の中を見回した。

部屋の中は酷い有様になっていた。

ゴミは散乱しているし。

一週間放置したとはいえ、ここまで汚れるなんて。

私は溜息をついた。

「これじゃ、掃除する気も起きないよ」

「いいじゃない、このままで」

「え、でも」

「僕の家に帰るんでしょ?」

もしかして、まだ心配してる?

このままここに残るんじゃないかって。

大丈夫だよ。

「和馬のところに帰るよ?」

安心してほしくて、そう言ってギュッと抱き付いた。

そうしたら、和馬もぎゅうっと抱き締め返してくれて、胸がいっぱいになって切なくなった。
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