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寝室の戸を開けると、台所兼リビングのような部屋に繋がっていた。

真ん中には四角いローテーブルがあり、そこには私のバックがちょこんと置いてあった。

見回すと、寝室の隣にもう一部屋あるように見える。

和馬がお湯を沸かしていたから、私はローテーブルの前に座った。

バックの中身を確認すると、財布もスマホも鍵もちゃんと入っていた。

「和馬、一人暮らしなの?」

「そうだよ」

「……」

「ここ、実家かと思ったの?」

「ううん、そこまで考えてなかった」

一人暮らしの割にはいい家に住んでいると思った。

そして、一人暮らしということは、やっぱり昨夜は二人きりで一緒にいたということになる。

何もなかったとは思うけど。

私の知っている和馬は、大人しくて穏やかで。

とても酔った女に手を出すとは思えなかった。

きっと、何もなかったはず。
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