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驚いて何も言えなかった。

私、そんなこと全然思いつかないし。

それに、浩介に対しても平然とした態度で言ってたけど、私ならビクビクしちゃって絶対にできない。

「よくそんなこと思いつくね。……すごいよ」

「まあ、ハッタリは得意だから」

「そうなの?」

「僕、嘘つきだから」

「……」

「ハルを好きなのは嘘じゃないよ」

「……私のために嘘をついてくれたってことかな?」

「まあ、そうだね。いい言い方をすれば。……ハルはあいつからお金を返してもらわなくてもいいの?」

「……うん」

「僕も詳しいことはわからないけど、本当に借用書がなくてもお金を返してもらえるとは思うんだよ。ただ、ある意味証拠がないからね、実際には難しそうだけど」
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