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和馬はじっとわたしを見た。

心配してくれてるのかな。

「君が働いたお金だよ?」

「もういいの。よくわかったし。会いたくないし、返してもらう労力を使いたくないから」

「高い授業料だね」

「仕方ないよ」

「お人好し」

「そうなのかな」

本当に浩介にはもう会いたくなかったし、今までだって返してもらえなくて大変だったのに、これから返してもらうだなんて、きっとすごく大変。

なにより、辛かった時間をもう思い出したくない。

「じゃあ、これからは自分を大切にしてね」

「え?」

首を傾げて和馬を見た。
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