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和馬はコーヒーの入ったマグカップをコトリと私の前に置いた。

「コーヒーって言っても、インスタントだけどね」

「ありがとう。私もいつもインスタントだよ」

「砂糖とかは?」

「ううん、いらない。このままで大丈夫」

「熱いから、気をつけてね」

和馬は私の正面に座るとにっこりと笑った。

和馬の髪は少し寝ぐせが付いていて、可愛らしいなと思ったと同時に、自分の髪型やら化粧の状況がどうなっているのか、まったく見ていないことにハッとして頬に手を当てた。

「私!化粧とか、大丈夫じゃないかもっ!」

両手で髪に触れると、指通りはスルスルとして引っかかることもなく、毛先までスムーズに降りてきた。

「全然変じゃないよ」

「そ、そうかな」

「うん」

和馬はにこにこしながら言った。

確かに私は地味な薄化粧で、マスカラもしないから、化粧が崩れて見苦しい状況にはならないのかもしれないけど。
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