ページをめくって
「相変わらずなんだね?集中すると周りが見えなくなるところ」

「うん」

「子どもの頃からそうだよね?」

私がそう言うと、どういうわけか、急に和馬は私の腰に手を回した。

どうしたの?

「ごめんね、長い時間一人にしちゃって」

和馬は腰にまわした腕に力を入れて、ぎゅうっと抱き締めてきた。

「一人でいる間は本読んでたから、気にしなくてもいいよ。……どうしたの?」

「癒されてる」

「癒されるの?」

「うん。こうしてるとすごく癒される」

私だって癒されるよ。

でも、こんなにくっついたら体温を感じてドキドキする。

シャツの向こうの肌の感じが伝わってくる。

どうしよう。

息が上手にできない。

「……ご飯、食べよ?」

「うん」
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