ページをめくって
ぎゅうっと抱き締められたと思ったら、少し持ち上げられて足が浮いたまま、ドタドタと運ばれてしまった。

和馬の部屋?

ネジなんてない?

鼓動が激しくなって目が回る。

ストンと降ろされて足が床に付いたら、バタンと扉を閉める音が響いた。

体を離して、頬に手を添えてじっと見つめる。

「ダメ?」

そんな、ズルイよ。

そんな熱っぽい目をしてるくせに。

もしかして、私も同じような目をしてるの?

もう、ダメなんて言えるわけがない。

「ダ……っ」

言おうとしたら、また口を塞がれた。

和馬の手が背中を撫でていく。

背筋をなぞられた感触にゾクッとする。
< 349 / 522 >

この作品をシェア

pagetop