ページをめくって
ふとその肌に触れたくなって、手を伸ばした。

もう少しで手が触れる、というところで和馬がぼんやりと目を開けた。

びっくりしたけど、伸ばした手を引くに引けなくてそのままにしていたら、和馬も手を伸ばして、私の頬を大きな手で包んで微笑んだ。

「おはよう」

「……おはよ」

「触ろうとしてくれてたんじゃないの?」

「あ、えっと」

少し先にあった胸に触れた。

そっと指で撫でる。

急にガバッと抱き寄せられ、ぎゅうっと抱き締められた。

「そんなことされたら、またしたくなる」

「ええ?」

「もう今日会社休んでよ」

「そんなっ、無理だよ」

「……うん、わかってる」
< 353 / 522 >

この作品をシェア

pagetop