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服を買ってあげた時もハルは喜んでくれた。

でも、自分の好みの服を彼女に着せて喜んでる僕ってどうなんだろうって思う。

少なくともあの店の店員はそう思っただろう。

普通はどっちがいいって聞いてきて、こっちって選ばせておいて、結局僕が選んでいない方を選んだりするものだけどね。

その上、当り前のように買わされたりする。

ハルはいつも何でも割り勘にして、僕が買うことに遠慮していたから、初デートのプレゼントだからって理由でもつけないと、きっと買わせてくれなかっただろう。

それに僕が買ったものを宝物にするだなんて、あれも一撃必殺のダメージを受けた。

あの時、本当は手を出してしまいたかった。

でも、ハルは全然そういう感じじゃなかった。

僕が手を伸ばしたらハルは抗わなかったかもしれないけれど、それじゃダメな気がした。

嫌われたくない気持ちもあったけれど、本当に僕を求めてほしいっていう気持ちが僕をなんとか押し留めていたんだと思う。

ハルにはまだどこか、手の届かない所にいるような雰囲気があったから。
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