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元彼と話をする時は、僕が行って良かったと思う。

ハルは僕が行くことを嫌がったけれど、行って本当に良かった。

元彼撃退にはいろいろな理由が重なっていた。

ハルに父親の闇と向き合ってもらうため。

ハルの信頼を得るため。

あとは、ハルの家から出て行ってもらうため。

そんなことより僕は、とにかく握り潰してやりたかった。

元彼は、会ってみたら小柄で簡単なチンピラだった。

もちろん、本当は会いたくなんてなかった。

でも、会わないと進まない。

ハル一人では進まなかっただろう。

チンピラごときがキャンキャン吠えているだけなのに、ハルは固まってしまって言い返すこともできないでいた。

かわいそうに。

今までずっと、こんな感じだったの?

こんな風に怒鳴られて。

そんな風にビクビクして。

何でも言うことを聞いていたの?

あの煙草臭い手が、舌が、君の体を好きにしていたの?

許せない。

許せないなんて言葉では片付けられない。

もう、めちゃくちゃにしてやりたい。

元彼は本当に単純で、僕を容易に近付けて僕の話を聞いてしまったし、僕の挑発に簡単に乗った。
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