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元彼が挑発に乗ったのは良かったけれど、ハルがあんなに大きな声を出すとは思わなかった。

あの時ハルは僕が望んでいた通り、父親の闇に触れたんだろう。

あんなに泣かせてしまって。

自分の腕にぽたぽた落ちてくる涙を感じて、胸が引き裂かれるように苦しかった。

僕が泣かせたのに、ハルは僕のせいじゃないと思っている。

涙が止まらないハルの全てを自分のものにしたくて、何もかもみんな忘れさせたくてキスをした。

みんな忘れてしまえばいい。

何もかも全て忘れて、僕のことだけ知っていればいい。

僕だけに頼って僕だけに甘えてくれればいい。
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