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でも、ハルは思いのほか冷静に自分のことを分析していた。

父親を諦めたというよりは、決別したような印象だった。

ハルの話はちゃんと整理されていて客観的で、やっぱり純粋だった。

ハルは新しい自分になったような気分だと言っていた。

そんな言葉を聞いて、また激しい一撃をくらった。

絶対に僕の傍から離さない。

どこにもやらない。

本当は会社にも行かせたくない。

あの時も僕は手を出してしまいそうだった。

あのまま抱いてしまいたかった。

あんな男のこと、すぐにでも忘れさせてやる。

ハルはキスをしてだいぶ近くまで来てくれている気がした。

でもやっぱり、まだ手を出せる距離ではない気もした。
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