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あの日、キスをして距離が縮まったのを感じたから、もう遠慮するのはやめようと思った。

本当のことを言うと、夕飯の前には部屋に連れ込んでしまいたかった。

いつもなら抱き締めるとすごく癒されるけど、あの日はとても癒される感じじゃなかった。

ハルからもそんな感じがしていた。

だいぶ近付いてくれてる?

でも、せっかくご飯を作ってくれたし、シャワーくらいは浴びたいかなと思って、僕はくだらないシナリオを描いて、ハルはまんまとそれに乗った。

そんな偶然ぶつかるわけがないじゃない。

あの時、僕は全然余裕がなかった。

ただ体当たりするだけでなんとかしようとするなんて。

キスをしたら僕を求めてくれるんじゃないかと思ってキスをしたけれど、そんなことをして止まらなくなったのは自分の方だった。

でも、君も求めてくれていたよね?

そういう瞳をしていたと思うけれど。
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