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あの時、初めて「愛してる」って言葉に出して言った。

心の中でもあまり使わなかった言葉。

でも、言葉にしてみて、本当に心からそう思っているって確信した。

だから、本心だってことをどうしても伝えたくて、もう一度繰り返して言った。

僕の言葉にハルは抱きついて返してきた。

きっと、伝わっているよね。


ハルは見られることをすごく嫌がったけれど、僕は確認しないではいられなかった。

体に傷が付いていないか。

父親に、他の男に傷を付けられていないのか、どうしても確認したくて、全身の肌に触れて全身を見た。

薄暗くてよくわからなかったけれど、そういう傷はなさそうだった。

本当にホッとした。

子どもの頃に確認したかったことを、こういう形で確認するとは思わなかったけれど。

それよりも僕は、ハルが触られて嫌がる反応に煽られてしまった。

すごく敏感ですぐに反応が返ってくるから、それはもう可愛くて可愛くてたまらなかった。
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