ページをめくって

 (2)同棲

今日は6時には終わると連絡が来た。

早く終わることもあるんだ。

昨日無理をさせすぎて疲れた?

まさか、仕事を早く終わらせてご飯作ろうだなんて考えていないだろうね。

ああ、でも買い物に寄るならパジャマを買ってあげたいんだ。

Tシャツのあれはあれですごくいいんだけど、やっぱり脱がせにくい。

明るいうちからこんなこと考えている僕もどうかしていると思うけれど。

ハルは6時ちょっと過ぎに下りてきた。

「お疲れさま」

「ごめんね、待たせちゃって」

まだ夕方の明るい景色の中を帰るのは新鮮だった。

僕はいつものように手を握った。

でも、いつもの手の感触ではないような気もした。

見下ろすとハルと目があった。

ハルもそう思った?

手だけじゃなくていろんな感触を知ってしまったから?

指と指を絡ませて手を繋ぐカップルの気持ちがなんとなくわかるような気もしたけれど、僕はやめておいた。

ハルはどうしたいのかな?

「あのね、途中でお買い物に行ってもいい?」

ああ、君はそっちに夢中なんだね。
< 373 / 522 >

この作品をシェア

pagetop