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「そういえば、今ハルが使ってる部屋、返してもらってもいい?」

夕飯を食べた後、僕は食器を洗いながら聞いてみた。

いきなりそう言ったらハルは困るだろうなとは思っていた。

「えっと……」

「その代わりハルは僕の部屋に来て」

「え?でも」

「今さら別々になんて寝られないし」

「……」

ちょっと強引だったかな。

仕方がないから本当のことを言うか。

「それに、あの部屋の方が集中できるんだ」

「え、そうだったの?そっか、今までごめん。……でも、いいのかな。和馬の部屋に行って」

「ダメなわけがないでしょ」

「……うん」

これでもう、居候から同棲になったと言ってもいいだろう。

毎晩僕の隣にハルがいてくれるなんて。

僕は本当にそれだけで十分幸せなんだ。


僕の部屋に来るって言っても、大きな旅行カバン1つだけなんて、身軽なものだ。

でも、ハルが借りている家からの引っ越しだってちゃんと考えないといけない。

どうするつもりなんだろう。
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