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「みんな、そうだよ」

わざと意地悪を言うと、ハルはシュンと落ち込んだ目をした。

その寂しげな表情に僕はまた一撃で胸を突かれた。

自分で聞いたくせに落ち込むハルが、可愛くてたまらなかった。

僕は腰を屈めてハルの頬を両手で包んだ。

「なんで『みんな』なんて言うの?『みんな』なんて表現するほど付き合ってないよ、僕は」

「え?ウソだ、そんなの」

「嘘じゃないよ」

「ウソだよ」

「どうしてそんな風に思うの?」

「え?うーん。なんとなく……」

なんとなく?

そんな適当で不確定な予想だったのか。

「まあ、たくさんではないから」

ハルは首を傾げた。

「そのうちね」

ハルは口を膨らませた。

「和馬、ズルイ。騙された」

「騙してないよ、僕が言うことが交換条件だったわけじゃないし」

「ホントにたくさんなんだ……」

何が君にそんな勘違いをさせているんだ?

「信じないなら、電気つけたまま脱がすよ」

「え?……信じる、信じてる、ホントだよ?」

「ふーん、そんなに言うなら、仕方がないか」

恩着せがましく言って僕は電気を消した。
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