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家に帰って玄関で抱き締めようとしたらやっぱり逃げられた。

まあ、この流れならそうなるよね。

リビングに入るとハルがじっと下を見て立っていたから、僕は話を切り出した。

「どうしたの?そんなに料理したかった?どうしてそんなに怒ってるの?」

「もういいよ」

「良くないよ。こんな状態で過ごしたくないから、ちゃんと話をして解決したい」

「ヤダ!」

ハルが急に大きな声を出したから僕は驚いた。

あの時、元彼に言ったのと同じくらい大きな声だった。

ハルは取り乱したように、出せる限りの大きな声を出しているようだった。

「どうして和馬はすぐにダメダメって言うの!私だって自分のことくらいわかるもん!無理なんてしてないもん!」

僕の抑圧が原因のフラストレーション?

持っていたカバンをバンッと床に投げて大きな声のまま続けた。

「どうしてダメなの?こんなのヤだ!ヤダ!」

ハルがわがままを言って地団駄を踏む子どもみたいになっている。

どうしたの?

一瞬、本当に子どもの頃のハルが見えたような気がした。

でも、子どもの頃のハルは、こんな風になる子じゃなかった。

なんだろう。
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