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「勝手に人の家に入らないでくださいよ。鍵、返してください」

「せっかく来たんだから、お茶ぐらい入れてくれたっていいでしょ?」

「うちにはお茶、ありませんから」

「あの子は入れてくれたわよ?」

もう飲んだんならいいだろ。

ハルにお茶を入れさせたのか?

そんなことをさせて、長時間ここにいたのか?

何を話したんだ。

「あなたを裏切った女のことなんて、さっさと忘れなさい」

「言ってる意味がわかりませんね」

「他の男の所に行ったのよ、あの子」

他の男?

そんなわけがない。

絶対にデタラメだ。

もう、イライラする。

「そんな所に立ってないで、座りなさいよ」

指示に従うのが嫌で、僕は座らずにキッと睨みつけた。

「話すことはありませんから、鍵を置いて帰ってください」
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