ページをめくって
私が言い返せずに黙ってしまったので、和馬は話しを続けた。

「僕にできることなんて、たいしたことはないけどさ。流されないように少しそばにいることくらいはできるよ」

心配してくれるのはありがたいけど。

こんな風に係わってこられると、なぜだか胸がざわざわする。

「でも……」

「悪いんだけど、諦めて。ハルはイヤかもしれないけど、幼なじみとして心配だからさ。僕の気が済むようにさせてよ」

「……うん」

ため息混じりで承諾したものの、まったく乗り気ではなかった。

普段誰にも見せない内面を見られてしまうような気がして。

自分で恋愛関係すら清算できない、情けなさもあって。

浩介は和馬にも怒鳴ったりするかもしれない。

怒鳴られてビクビクする私を見られることも、すごくイヤだな。
< 43 / 522 >

この作品をシェア

pagetop