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嵐のようだった。

何なんだよ、もう!

なんだかあの香水の匂いが残っているような気がして、すごく嫌だ。

ハルに何を言ったんだろう。

戻って来れなくなるようなことって何だ?

ハッタリだろうか。

でも、ハルが出て行ったことは事実だ。

電車でハルは泣きそうな顔をしていた。

あの女、ハルを傷付けるようなことを言ったに違いない。

でも僕にはハルが傷付くような暴露話はない。

きっと、とんでもない嘘をついたんだろう。

ハルが出て行くような嘘って何なんだ。

ハルはその得体の知れない嘘を素直に信じて傷付き、出て行ったんだろう。

僕から離れるなんて。

どんな手を使っても何をしてでも、僕の手元に必ず取り戻す。

君が傍にいないなんて、どこにいるかもわからないなんて、もう苦しくて息もできなくて気が狂いそうだ。
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