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 (7)必ず君を取り戻す

もちろん、夜は眠れなかった。

ハルが僕の知らない所で僕の知らない天井を見ていると思うと、わけのわからない苦しさに襲われた。

相変わらずハルの電話は電源が切れていたけれど、メールは何度か入れてみた。

しつこく分刻みに送ってしまいそうな自分をどうにか抑えて、1時間に1回にするのがやっとだった。

怜奈がハルに何を言ったのかはわからない。

自分が本当の恋人だと言ったんだろうか。

それとも婚約者とか言ったんだろうか。

もっと想像もできないようなことを言ったんだろうか。

どうせ怜奈に聞いても、本当のことなんて言わなかっただろう。

まずはハルと話をして誤解を解かないと。

本当は朝、会社の前で待っていようかと思ったけれど、そんなことをして仕事に差し障りがあってもいけない。

でも、出勤しているかどうかを知りたいから、遠くから確認しよう。

これって、きっとストーカーと同じ動きなんだろうな。

もしそうだとしても構わない。

そんなのどうだっていい。
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