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「どうしても言うこと聞かないなら、今ここでキスするよ」

ハルは声を詰まらせて、ぽろぽろと涙を零し始めた。

「いいよっ、お別れのキスにするから。一生、忘れないから……」

やめてよ、どうしてそんな不吉なこと言うの。

「じゃあしない。帰ってからにする」

「じゃあ、キスしないで、ここでお別れ」

「どうして僕の話を聞いてくれないの?」

ハルは泣きながら首を振るばかりで、僕は困り果てた。

どうして話も聞いてくれないんだろう。

「じゃあ、ここで話をしよう」

「ダメだよ。……和馬と話したら、私きっと、いいように丸め込まれちゃうから」

「丸め込むわけじゃないよ。話し合うことが大事だって言ったでしょ?お互いに納得できるように話をするんだよ?」

ハルはうつむいて考えているようだった。

頬を伝った涙を拭いてあげると、ハルは僕を見上げた。

「……わかった。話をする」

「うん、じゃあ帰ろ」

「……ここで話す」

もう、困った子だな。

「ここじゃ、きちんと話せないよ。帰ろ?」

ハルは渋々うなずいた。

良かった、とりあえず話をするところまでは漕ぎつけた。
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