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半ば強引に荷物を手から奪い取ると、ハルは苦しそうな顔をした。

「僕には甘えていいって言ったでしょ?」

「……もう、甘えちゃダメなんだよ」

いったい怜奈に何を言われたんだろう。

どういうわけか、僕たちは一緒にいられないって思っている。

頼ったり甘えるのが嫌なのは、甘えられなくなった時に辛くなるからって、前にハルは言っていた。

それなのに、今回はその状況を作り出してしまった。

不可抗力とはいえ、僕が怜奈を放置していたことがいけなかったのなら、僕のせいだ。

僕を信じて甘えてくれていたのに、どれだけ辛かっただろう。

電車の扉から外を見るハルが急に小さく見えて切なくなった。

もう二度とこんな思いはさせない。

全身全霊をかけて誓うよ。
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