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一週間ぶりに行ったハルの家には、予想通り元彼はいなかった。
鍵を置いて行ってくれていなかったら、錠ごと全部取り換えなければいけなかったけれど、元彼はちゃんと鍵をポストに入れて出て行っていた。
それは少し意外だった。
その上、ハルに手紙を置いていった。
メールとかラインじゃないところが若者っぽくなくて、やっぱりあの元彼からは昭和の映画みたいな匂いを感じてしまう。
手紙を読んで、ハルは泣いていた。
何が書いてあったのかを僕は聞かなかったけれど、ハルはその手紙を僕に見せてくれた。
それは手紙と言うよりメモだった。
――『今までごめん。ありがとう』――
あのチンピラにしては粋なことをしたもんだ。
嫉妬しつつも、泣いているハルを抱き締めた。
「ごめんね、泣いたりして」
「いいんだよ、好きなだけ泣いて」
どんなに苦しい思いをさせられたとしても、あいつは一度はハルが愛した男なんだ。
あいつも一度はハルを好きだったんだろう。
それは変えられない。
僕にできることは、そんなこともあったなっていい思い出になるくらい、これからハルと一緒に良い時間を過ごして、ハルの中を僕でいっぱいにすることくらいだ。
鍵を置いて行ってくれていなかったら、錠ごと全部取り換えなければいけなかったけれど、元彼はちゃんと鍵をポストに入れて出て行っていた。
それは少し意外だった。
その上、ハルに手紙を置いていった。
メールとかラインじゃないところが若者っぽくなくて、やっぱりあの元彼からは昭和の映画みたいな匂いを感じてしまう。
手紙を読んで、ハルは泣いていた。
何が書いてあったのかを僕は聞かなかったけれど、ハルはその手紙を僕に見せてくれた。
それは手紙と言うよりメモだった。
――『今までごめん。ありがとう』――
あのチンピラにしては粋なことをしたもんだ。
嫉妬しつつも、泣いているハルを抱き締めた。
「ごめんね、泣いたりして」
「いいんだよ、好きなだけ泣いて」
どんなに苦しい思いをさせられたとしても、あいつは一度はハルが愛した男なんだ。
あいつも一度はハルを好きだったんだろう。
それは変えられない。
僕にできることは、そんなこともあったなっていい思い出になるくらい、これからハルと一緒に良い時間を過ごして、ハルの中を僕でいっぱいにすることくらいだ。