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「なに?不安?」

「……和馬が何かされたらどうしよう」

「大丈夫。負けないから」

「エッ?」

はっきりと自信を持って和馬が言ったので、私は驚いた。

そんな、喧嘩どころか、一度だって体育会系になったことすら、なさそうなのに。

その自信はどこから?

「そんな不安な顔しないで」

「だって……」

「ね、家に段ボールある?」

「え?段ボール?うん、あると思うけど」

「じゃあさ、それに荷物入れさせるから、家に着いたら出してよ」

「うん……」

和馬の態度に半信半疑で答えながら、私はアイスコーヒーのストローをくわえて外を見た。

大勢の人が横断歩道を渡っているのを見て、今日が日曜日であることを思い出した。

日曜日なら、たぶん浩介は家にいるだろう。

きっとスポーツ新聞を片手に競馬を見てる。
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