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無事荷物を送って、捨てる物をまとめ、なんとなく全体をざっと掃除をした。

明日は不動産屋の立ち合いがある。

僕は明日は仕事で一緒に来られないから、ハルが一人で対応することになった。

家具がそのままになっていると、あまり引っ越す感じがしない。

それでもハルは少し複雑な表情をした。

「寂しい?」

「ううん、そうじゃないけど、ちょっと怖い」

怖い?

「どうして?」

「自分で借りてる家がないって今までなかったから……」

「大丈夫だよ。もう勝手に追い出されたりしないでね」

「うん。騙されないようにする」

ハルは今まで一人で頑張っていたんだ。

だから自分で借りている家がないなんて、所在がない感じで怖いんだろう。

また、僕に捨てられたら、とか思ってビクビクしてしまうだろうか。

「僕の家だからって遠慮しないでね。ハルがうちにいられなくなるようなことは、絶対にないから」

「うん、大丈夫。もし、和馬の所にいられなくなったら、また自分で借りるから」

「えっ?」

思いもしない回答。

それもサッパリした感じで。

でも、ビクビクされるよりはいいのか。

「和馬が驚くなんて、珍しいね。大丈夫!一緒にいるって約束したでしょ」

「そうだよね、約束したよね?」

少しドキドキしつつ、返事をした。

ハル、少し強くなったかな?
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