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「ただじゃ済まさないから!」

どうせ父親にすがるんだろう。

いいさ、何でもしてくればいい。

いくらでも切り返してやる。

怜奈はしばらく僕を睨みつけていたけれど、プイッと顔をそむけてカツカツ大きな靴音を立てて去って行った。

「あの人、大丈夫かな?」

「大丈夫だよ」

「でも、和馬、ちょっと言い過ぎ」

「うん、僕もそう思ったけどね、あの人はこのくらい言わないとわからないよ」

そういえば、今日は急いで出て行ったからハルに鍵を渡すのを忘れていた。

怜奈を見て思い出した。

「そういえば、合鍵。ハルに渡すの、忘れてたよ」

「あ……」

「これはハルが持っているべきものだよ。もう誰にも渡さないで」

「うん」

ハルは少し微笑んで受け取った鍵をじっと見ていた。

本当にもう絶対に誰にも渡すなよ。
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