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「和馬のことをもっとたくさん知って、支えられるようになりたい」

和馬は私を少し離して、優しく微笑んだ。

「もう支えてもらってるよ。いつも勇気を貰っているし、いつも救われてる。僕は頭を撫でられてる子犬だからね」

「それは子どもの頃の話でしょ?」

「今もだよ。ハルがいつも僕の味方でいてくれるから、僕は僕でいられる。いつも支えられてるんだよ」

「……そうなの?」

「もし僕が」

そう言って和馬は言葉を切った。

「なに?」

「もし僕が負けて帰ってきても味方でいてね」

「うん、もちろん。いつだって私は和馬の味方だよ」

私が微笑んでみせると、和馬は少し寂しそうな顔をした。

「いずれそういうことはあるから。そんな姿、本当は見せたくないんだけどね」

「それも和馬だから。全部見せてほしい」

「うん、……そうだね」

勝っても負けても私は微笑んでお帰りなさいって言って抱き締めるくらいしかできない。

そうやって、私の気持ちを伝えるくらいしかできないと思う。

いつだって味方だよって。
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