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予定通り冷凍のストックをたくさん作って、届いた荷物を片付けたりあれこれやっていたら、お母さんに電話をするのは夕方になってしまった。

本当は料理なんてする前にさっさと電話すればよかったのに、なんとなく勇気が出なくてわざと後回しにしていた。

和馬と一緒に住むって言ったらお母さん、どんな反応するだろう。

お母さんは世間体とか体裁をすごく気にする人だからきっと反対する。

お母さんは離婚した時も周りに隠してて、私が友達に話しちゃったら、そんな恥ずかしいこと言いふらさないでってすごく怒られた。

そんなの隠したっていつかはわかるのに。

私はあの時、嬉しくて嬉しくてどうしても誰かに言いたくて喋ってしまった。

だって、お父さんがいなくなるなんて!

もう怒鳴られないなんて!

玄関の鍵の開く音がしても部屋に隠れなくてもいいなんて!

友達があの時、どんな顔で私の話を聞いていたのかは覚えていない。

考えてみたら、変な子だったかもしれない。

お父さんがいなくなることが嬉しいなんて。
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