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涙声になってしまうけど、このまま話さないともう言えない気がして、鼻をズルズルしながら話を続けた。

「私……、子どもの頃、私がお父さんに怒鳴られてる時、お母さんは見て見ぬふりをしてると思ってた。お母さんは、助けてくれないって。むしろ、私を盾にしてるって」

「……そんな、こと……」

「うん。そんなことなかったんだよね?だってお母さん、私のこと引き取ってくれたもんね。そうやって私のこと守ってくれたんだよね?」

「当たり前じゃない、大事な娘なんだから」

「うん……、ごめんね、お母さん。私、お母さんにとって邪魔な子なんじゃないかって思ってた」

「そんなわけないでしょ。……そんな風に思わせてたなんて、お母さんもごめんね。遥ちゃんずっといい子で優等生だったから、きっと我慢してたのね」

お母さんの声も少し震えているみたいだったけど、努めて私にそれが伝わらないようにしているのがわかった。

「うん、私、我慢してた」

「……そうね」

私は深呼吸した。
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