ページをめくって
うつむいてしまった私をなだめるように、和馬は優しく手を握り返してくれた。

なんか、私ってやっぱり子どもっぽいな。

「寂しくなっちゃった?本当に可愛いね、僕のハルは」

そんなこと言われたら、やっぱり赤くなってしまう。

うつむいて、胸元に手を寄せて指輪を見た。

「気に入った?でも、僕といる時は指輪じゃなくて僕を見てよ」

「そんなにずっと見てたら、変な人だよ」

「いいじゃない、変な人でも」

「やだよ。じゃあ、向こう見てる」

そう言ってから、ふと思い出した。

「そういえばこの指輪、すごく高いんでしょ?会社の人に言われたよ。何十万もするって」

「気に入ってくれたんでしょ?いいじゃない」

ホントにそんな高価なものだったんだ……。

なんか、もったいないような気がしてしまうけど、でもこの指輪は和馬が私を思って買ってくれた特別な物だから、野暮なことを言うのはやめよう。

「うん。……ありがとう」
< 508 / 522 >

この作品をシェア

pagetop