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そう言ってくれるのは嬉しいけど……。

「和馬、無理してない?」

「してないよ。なんで?」

「私がいると普段通りにできないんじゃないかと思って」

「普段通りにしてるよ」

「そう……」

「ハルに合わせてペースを崩す、なんてことはないよ。大丈夫」

和馬は箸を置いて、しばらく考えてから口を開いた。

「明日の相手はすごく強い人なんだ」

「そうなの?」

「一筋縄では勝てないと思う。でも、相手がどんなに強くてもやっぱり勝ちたいから。全力を尽くすよ」

「うん」

……和馬、不安なのかな。

でも、私にできることなんて、ほんの少ししかない。

「私はいつも和馬の味方だよ」

それを聞いて和馬はにっこり笑った。

「うん、ありがとう」
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