ページをめくって
外に出ると、日が少し傾き始めていた。

自分の影を見ながら、今の状況が掴みきれなくて、不思議な気持ちで歩いた。

ふわふわして落ち着かない。

考えてみたら、これから男の人の家に厄介になろうとしているんだ。

それって、やっぱりどうなのかな。

ちらっと盗み見ると、和馬のサラサラした髪に光が透けているのが、とても綺麗だった。

和馬は私の視線に気が付き「なに?」と首を傾げた。

急いで首を振ると、和馬は当たり前のようにまた私の手を握ってきた。

そういうのも慣れることができなくて、つい下を向いてしまう。

「手を繋ぐの、イヤ?」

「……イヤとか、そういうことじゃなくて」
< 64 / 522 >

この作品をシェア

pagetop