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バタンと扉の閉まる音がすると、残されたのは静かで重たい空気だった。


「浮気、だよね?」

自分でも驚くほど小さな声しか出なかった。

私、怒ってないのかな。

もっと強く言ってもいいはずなのに。

どうしていつも、ちゃんと言えないんだろう。


浩介は否定もせずに、「そーだけど?」と開き直った。

否定しないんだ。

この状況では否定もできないか……。

それとも、おまえは浮気されて当然だ、とでも言いたいのかな。

ただ、浩介が浮気をしていたことについては、やっぱりねという感想。

ずっと前から薄々勘付いていたんだと思う。

忙しい自分を理由に、気が付かないふりをしていただけで。
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