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でも、気が付いてしまった以上、もうこの関係を継続させることはできないと思った。

「もう、別れようよ。……もう、ここから出て行って」

浩介はぱっと立ち上がった。

「……そんなこと言うなよ」

急に優しい声を出して近付いてくる。

一気に嫌悪感が湧きあがった。

「ヤダッ!やめてっ」

抱き寄せられそうになって、私は珍しく抵抗した。

そんなの、調子よすぎる。

もう、浩介に触られたくない。

流されたくない!

「触らないでっ」

「ッだよ!めんどくせーな。だれがテメエになんか触るかよっ」

浩介は私を突き飛ばすと、吐き捨てるように怒鳴った。

怒鳴られるといつもビクビクしてしまう。

でも今日は、小さな声だったけれどなんとか言い返した。

「もう無理だから、本当にここから出てって」

「住むトコねえから出てくのは無理」

「さっきの彼女の所に行けばいいじゃない」

「ああ、無理。旦那がいるから」

なにソレ?おかしいよ。
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