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戸惑う私の手を取りながら、和馬は言った。

「本当はね」

「うん?」

「元彼が来たらヤダな、と思って迎えに来たんだ」

「え?そんなっ、来るわけないよ。だいたい、ここに来たことなんてないし」

「でもね、心配だったから」

「そ、そう」

そして、当たり前のようにまた手を繋いで歩き始めた。

「この設定……」

「まだ続いてるよ」

上から被せるように和馬は言ってきた。
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