芸能人とスキャンダル!?―ありえない恋―
第四章 好き
好きなのに-emi-
何が・・・起こったんだろう。
【死】
それさえ意識した。
朦朧とする意識の中で、
君の声だけが聞こえていた。
【ごめん】
世界で一番、残酷な言葉だと思った。
階段が、ものすごい速さで回ってく。
回ってるのは・・・私の方?
・・・思い出した。
「笑美っ!笑美っ!!!」
「っ・・・・?」
少しだけ痛む頭。
「分かる?」
何となく。
多分お姉ちゃん。
「・・・お姉ちゃん・・・?」
「そう、そうだよ!よかったぁ」
あの時・・・
薫から電話があって。
出た時に・・・
階段から落ちたんだ。
階段が急だったから。
勢いよく、下まで。
誰かの・・・手を背中に感じながら。
落と・・・されたんだ。
「まったくも〜〜〜!心配かけて!!!」
「ごめん、ごめん。」
安心したお母さんの顔。
・・・心配掛けちゃったなぁ。
「何で急に階段から落ちたの?」
「足、踏み外しちゃって」
軽々と出てきた嘘。
上手くつけてるかな。
「も〜本当馬鹿なんだから。」
よかった・・・大丈夫だ。