冬に咲くヒマワリ
眠れない夜。
涙で濡れた枕は、次の日には渇いていて
涙の跡だけが頬に残ってる。
カレンダーには、赤いハートマークの上にバッテン印。
もう、あたしの心は今にも折れそうだった。
「バカじゃん。」
生まれたばかりの赤ちゃんが、世里菜の茶色い髪の毛を引っ張る。
とてもママには見えないその指先は、キラキラのネイルアートで彩られていた。
「バカなのは、恭平だもん。」
「いや、沙映もバカ。」
ふぅとグロスの引かれた唇から吐き出した煙は宙に消えて、次の瞬間、また新しい煙が宙を舞う。
恭平と電話で喋った次の日。
あたしは友達の世里菜(せりな)とカフェでお茶を飲んでいた。
「てかさ、そんなん無視して会いに行っちゃえばいいんだよ。」