冬に咲くヒマワリ
…愛を込めて
「妊娠したの。」
そう言って、彼を真っ直ぐに見つめる。
「……マジで…?」
「うん。」
つーか、そりゃ当たり前でしょ。
避妊なんてしてくれなかったんだから。
冷め切ったご飯を前に
沈黙が二人の間をすり抜けた。
ポチャン、と蛇口から落ちた水滴がコップに当たって音を立てる。
「あたし、産むから。」
「え?」
俯いてた顔を上げた男は目を丸くしてあたしを見た。
「産むから。もう決めたの。」
立ち上がり、冷蔵庫からお茶を取り出したあたしはそれをグラスに注いで飲み干す。
鍵の音がして、振り返ると
「俺、ちょっと煙草吸ってくる。」
そう言ったあたしの彼は靴を履いて外に出て行ってしまった。
…彼を見たのはそれが最後。